お返しは後からでいいじゃないですか。
みかこです。
講師をしています。
きょうは、施設の少人数制プログラムに参加されている方が、アルバイトの面接に合格したという報せをきいて、とても嬉しかったの。
4月にプログラムを始めてから、その方がみるみる行動的になり、表情もキラキラしていくのに、こちらが触発されるような思いで見てきました。
暮らしのあれこれを工夫されたり、施設の中でも爽やかな自己表現をされるようになり、過去に元気で活躍されていたころは、きっとこんな感じだったのかもしれない、この方の、本来の姿に近づいてきてるのかもしれない、と思います。
それで、わたしが過去、コーチングの講座などでお世話になった先生方も、わたしも含めた受講生たちが変わっていくのを見ながら、いまのわたしのような思いだったのかもしれないなぁ、と。
「そんなふうに褒めてくれるのも、どうせお世辞だったり、仕事上言わねばならん立場だからだろう」と当時は思っていましたが、そうではなかったのかもしれません。
施設の利用者さんのことは、特段、障がい者、病者とは意識せずに、接するようにしています。
オープンダイアローグ、ユマニチュードなどについての本を読むと、その人は人間であって、人間らしく扱うからこそ、人間らしい姿に戻っていく、という感覚があって。
みるみる素敵になっていく利用者さんに、笑顔で挨拶されると、眩しいなぁ、とすら思う今日この頃。
いろんなもの、こと、ひとは、こんなふうにつながっていくものかもしれないな。
最近読んだ、伊藤絵美先生の本にあったことばを引用しておきます。
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「お返し」というのは、とても素敵な言葉ですし、何かをしてもらったときに「そのお返しがしたい」と思うのはごく自然な人間らしい気持ちだと思います。
しかし、お返しはすぐにしなければならないものではありません。
特にこころが弱っているときに、誰かから何らかの手助けを受けたからといって、それに対してすぐにお返しをするのは、大変難しいと言わざるを得ませんし、無理してお返しをするのは、かえってあなた自身のこころを弱らせてしまいます。
お返しは後からでいいじゃないですか。
こころが弱っているときは、誰かからの助けをたくさんもらって、もらって、もらいまくって、回復して元気になったら、そのときにあなたに助けを求めてきた誰かを助けてあげればよいのです。
そうやって順繰りに助け合いながら、人はこれまで生きてきたし、これからも生きていくのではないでしょうか。
(伊藤絵美「自分でできるスキーマ療法ワークブックBOOK1」)
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わたしもかつては、こころがとても弱っていました。
いまはじゅうぶん元気になって、お返しができる番になったのかもしれませんね。