障害者のきょうだいに共通すること・しないこと
みかこです。
障害者のきょうだい児です。
きょうだいに障害者のいる人同士で話す機会って、今まであんまりなかったんですけど、最近、福祉関係の仕事をするようになったら、そういうところには結構いたり、全然別の仕事でつながった人から、「みかこさんと似た境遇の人がいる」と紹介されたりして、ご縁ができてきました。
お話しする中で、色々と感じることがあったので、書いておこうと思います。
■上のきょうだいに障害者しかいない場合
・生まれたときから、いちばん可愛がられることがなかった
(たいていは、いちばん下の子が可愛がられるので、他のきょうだいよりも親に大切にされた経験があるものだけど、それがないまま)
・自分は必要な子だったのか疑問に思ってしまう
・状況的に、自分のことで親に手をかけさせられない
■下のきょうだいに障害者がいる場合
・親に余裕がなくなり、まだ親のフォローが必要な時期から自立せざるを得ない
・立場的にも、状況的にも、自分のことで親に手をかけさせられない
・上のきょうだいだから、健常者だから、という理由で、大人と同じ役割を担うよう求められることがある
■いずれの場合もあること
・親から、生涯にわたってきょうだいの面倒を見るように求められる
・自分が大変な思いをした、あるいは、親が不適切行動に走ったばかりに、子どもを産むことが怖いと思う(障害者が生まれたらどうしようという恐怖)
・きょうだいのことを過剰に大切に思う
・きょうだいのことを過剰に嫌う
■親のパターン
・障害者が生まれたという事実に対して、よりいっそう夫婦で協力するようになる
・障害者が生まれたという事実から、逃げる(いずれか、あるいは双方)
・障害者を虐待する
・障害者を保護しすぎる
わたしの場合は、障害を持った理由はお前にある(風疹の感染)、親のいなくなった後は養育するようにと親に言われていたこともあり、罪責感とともに、実質的にもきょうだいのことを「背負わなければならない」と考えていました。
進路の選択や、職業の選択などにも、多分にその影響があり、自分の夢、将来職業にしたいことを親に伝えても、応援してもらったことがないです。
そのように、きょうだいのために人生の選択に自由がないと認識している分、障害のあるきょうだいのことは、他の健常者のきょうだいとは違い、自分の子どものようでもあり、自分自身のようでもあるような、かなり近接した関係に感じていたと思います。
普通に考えれば、親の言うことに従う必要などないのですが、親に愛されなくなるかもしれないと考え、親の喜ぶような進路選択なり、職業選択なり、とにかくお金に困らないこと、配偶者についても、そのような点も含めて誰にも文句を言われない人、という視点が少なからずあったと思います。
そんなわけで、障害者のきょうだい児は、必要以上に適応的になったり、逆に、不適応になったり、自尊感情、自己肯定感がうまく育っていないことも多いのではないでしょうか。
小さい頃はただの「いい子」「育てやすい子」「とても協力的な子」でも、どこかのタイミングで今まで抑えていた何かが爆発することもあります。
身なりも平均以上にきちんとして、仕事も優秀なレヴェルでできていても、どこかに脆さが残っていて、恋愛や友人関係などで極端に不安定な振る舞いをしたりする人も見てきました。
「何番目でもいいから愛されたい」とか、「そもそも自分には愛される価値、大切にされる価値などない」とかいう考えもあったりして、大切にしてくれない人を選んでしまったり、いいパートナーに出会えない人もいるかもしれません。
(このあたりは、親に何かしらの問題があったり、何らかの虐待を受けてきたケースでも同じだと思いますが)
「親には甘えさせてもらえなかった」という認識が、自分のいまの年齢を度外視して「甘えさせてくれる相手」を求めるように行動させるのかと考えますが、それはそれで、一種の「育て直し」のようでもあり、その人にとっては必要なケアに当たるのかもしれません。
それがうまくいって、自立できると、夫婦関係も病的なものではなくなり、健全な家族に育っていくこともあると思います。
一方で、デメリットばかりでもないと思います。
誰かのほんの少しの可能性を見つけること
誰かに何かをいっしょうけんめい教えること
誰かに尽くすこと
どうしようもない何かを受け止めること
ことばでない何かを受け取ること
能力ではないところにある「存在そのものの価値」を理解できること
障害のあるきょうだいがいた人は、これらのことをたくさん学ぶ機会があり、人並み以上にこれらのことができていると思います。
自分自身に対しても、こういうチカラを使えればいいんですけどね。
わたしが心理学を学ぼうと思ったのは、単純に面白いと感じるからですが、自分自身を理解するためでもあります。
また、自分が学んだこと・解決してきたことを同じような境遇の人たちの参考にしてもらえたらいいなと思うのと、そのような人たちから支援の求めがあれば、していきたいという気持ちもあります。
そんなわけで、わたしで役に立てそうなことがあれば、いつでも声をかけてください。