コーチングとカウンセリングの境界あたりのこと
みかこです。
カウンセリングが必要な状態の人に、コーチングはしてはいけない、ということがけっこう言われています。講座の中で仲間たちと勉強しているときは、
落ち込んでいる人にコーチングをして、何がいけないのか?
と思っていたのですが、いざ、プロコーチになって、コーチングを受けにきた、その日初めて会う方を相手にコーチングしてみると、「報告」のプロセスがしんどい人もいるということに気がつきました。
「約束しなきゃよかった」
というやつです。
そうなってしまった方には、「コーチがクライアントを査定をするために報告してもらうのではないので、自分の行動を後押しするきっかけとして使ってもらったり、できなかった場合はできる方法をまた一緒に考えていくだけです」という説明をしています。
報告がしんどくなるということから想像すると
コーチングの中で、カウンセリングが必要な状態の人に対して負担になりそうなことがあるとしたら
「期限を切る」
「現在地を確認する」
というあたりのことかな、と思いました。
「資源の発掘」「行動を変える宿題」などは、認知行動療法でもやったりします。
あくまでわたしの考えですが、
コーチングをしているとき、相手(クライアント)にどこか落ち込みのようなものを感じたら、GROWモデルとか、SMARTゴールみたいな型にこだわらず、資源の発掘や、ちょっとでも行動できたことを認めることから始めて、まずはその人の気持ちの充電に時間を使ってもいいんじゃないでしょうか。
それが十分にできてから、トラウマのような過去の出来事・それに対する反応と向き合うことに移っていくといいんじゃないかな、と思います。
さて、目標を設定すると、達成したときにドパミンが出たりして、テンションが上がります。
目標を周りに伝えていると、周りの人から応援してもらったり、達成したときには「おめでとう!」と言ってもらえたりして、さらにテンションが上がります。(何かのゲームで「おうえん」すると仲間がパワーアップするとかあったな・・・)
その繰り返しで、目標達成がどんどん加速していくことが予想されます。
でも、できなかったときのことを考えると、目標を口に出すのすらしんどい場合もあります。
失敗したら恥ずかしいとか、できないやつだと思われるんじゃないかとか、評価に対する不安でいっぱいになってしまう人もいます。
自覚せず、ただ「思いつかない」ということにしてしまう場合もあります。
夢や目標を表明するかしないかは、自分で決められます。
コーチングを受けようとするとき、もし自分の気持ちの変調に自覚があったら、テーマの設定の時に「自分のサポート資源を探る時間にしたい」「傾聴してもらって、気持ちを整理する時間にしたい」とコーチに伝えるのもひとつの方法です。
コーチングもカウンセリングも、相手(コーチ、カウンセラー)が「何とかしてくれる」ものではないです。
自分に「目標を達成したい」「回復したい」という気持ちがあって、初めて前に進めます。
聖書の「ルカによる福音書」には、自分のもとにやってきて、病が治った人に対してイエス・キリストが「あなたの信仰があなたを救ったのです」と言う場面が4回ありますが、カウンセリングの場面で起こることは、そういう感じなのかもしれません。
ルカが書いたのは、救い主が救ったというより、何とかして救われたい(変わりたい)という気持ちがその人を救った、ということなんじゃないかな。とか言うと、どこかから怒られるかもしれないが。(ちなみにこの福音書を書いたルカという人はお医者さんです。)
「変わらなくてもいい」「変わりたくない」というのに気がつく、ということも、ひとつの答えです。
「変わらなきゃ」にとらわれている状態からは、「変わった」とも言えます。
コーチあるいはカウンセラーと、受け手との間には、自然と信頼関係ができていくのが理想ですが、お互いに相手を信頼しようとする努力ができれば、より早期に、より良い時間にすることができるのではないでしょうか。