まるぽて

みかこのなんでも書くブログ

くすりができるまでにはすごい手間がかかっている(データマネジメントの気持ち)

みかこです。

 

薬の業界で育ちました。

 

薬を売ったり、薬候補を輸入したあとパッケージングして医療機関に送るまでの手配をしたり、薬候補のデータをまとめたり、医療機関で患者さんに実際に使ってもらったりと、いろいろな仕事をしました。

 

さて、唐突ですが、

ちょっと、考えてみてほしいんです。


あなたは、

白い錠剤が、ぽつんと机に置いてあったとしたら、それを飲みますか?


飲みませんよね?

 

でも、


ラベルのついた瓶に入って、使い方と、効果が書いてある説明書きが添えてあったら、

必要なときに飲むかもしれないですよね。

(薬自体にも色がついていたり、文字や記号が印刷されていたりもしますが。)

 

薬はそういうふうに「ラベル」「説明書き(添付文書)」などに書かれている「情報」でもって、成り立っています。

(「言葉が価値を作っている」って誰か言ってましたが、美術品などと違って、薬はそのものを見ても価値が全然わからないので、それの最たるものかも。)

 

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クスリはリスク

 

医薬品メーカーというのは、特定の物質についていろいろな「情報」を集め、その物質が薬になりうるかを動物やヒトで試してデータを集め、作り方、仕入れ方も含めて厚生労働省に認めてもらった上で、決まった価格で医療機関や薬局に販売しています。

そういう意味では、医薬品メーカーの仕事の大部分は、情報を集めることと伝えることです。

 

そんな大事な情報なんですが、それを操作する人がいて、いろんな事件として報道されてます。なぜかいつまでも止まないですが。

 

どんな厳しい罰があったって、あんまり疑問を持たずに、やる人はやる。

倫理観というか、良心というか、セルフコントロールというか、そういうのの問題なもので、ルールや罰があっても関係ないのです。

倫理観や良心などが、どうやったらしっかり育まれるのか、心ある業界の人たちは、いつも頭を悩ませていると思います。

「自分は賢い」ではなく「自分は善良」というセルフイメージを持てるような教育が推奨されていたら、いろいろと変わるんじゃないかなぁと思ったりもします。

 

 

さて、、、データが命の、データマネジメントや統計、さらに、統計データでもって営業をする立場からすると、データ操作の事実を知るというのは、とてもつらいことです。

 

昔は、紙の症例報告書に医師がデータを記入し、それをメーカーが回収してきて、開発部門のスタッフがコンピュータへ入力して電子データに変換し、データ処理をしていました。

今はデータ周りの仕事も開発業務受託機関(CRO)へ外注するのが当たり前になっていて、紙の症例報告書を使っている場合は、CROの人たちがせっせと入力している。

(けっこう前から、紙の症例報告書は、転記ミス、入力ミスなどの無駄な手間が多いために、できればもうやめようという動きもあって、最近では、医療機関で得られたデータを治験コーディネーターがWebのデータベースへその場で入力するのが当たり前になってきています。)

 

データの入力にかける手間がすごいCROもあります。

同じデータを見ながら二人が別々に入力し、マッチングさせて合ってるデータだけをデータベースに入れるようなダブルエントリのシステム作ってみたり、さらに、二人とも間違ってたら困るから、入力したデータを読み合わせたり。

「納品されたデータを見たら間違ってた」とクレームがあったときなんか、もう、たいへんです。

今までの全部の症例報告書を引っ張り出して来て、読み合わせし直す。

人も必要で、すごい工数。そのチームみんな残業。

入力精度の悪いスタッフがどうだとか、マネジメントしてたやつが悪いとか、なんかそういうことで、人間関係もぐちゃぐちゃになったりしてね。

 

そこまでしてるのは・・・・・・現場のデータが正しいという大前提があるからです。

データそのものが嘘だなんて微塵も思ってないんで、そこまでしてるんです。

 

人がいちばん嫌なのって、自分のしてきたことが無駄だと思うことなんじゃないでしょうか。

10人中9人がきれいな仕事をしてても、1人がおかしかったら、おじゃんになるのが統計です。

現場の方には、そういうことを知っていてもらいたいです。